読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

社会とサブカル コラムノート

社会哲学と生命倫理を軸に、社会批評とサブカルチャーコラムをただ思うがままに書きたいです。

都知事選挙に関する雑感③社会学業界の衰退

 今回の都知事選挙で、社会学者とりわけジェンダー論やフェミニズムを専門とする論者の劣化を感じた。
 社会学業界の劣化について、学生時代に、宮台門下生の社会学者とよく話し合っていたが、私とその社会学者のジェンダーフェミニストを専門とする人たちが認識や言説が硬直化しているという話になった。こうした社会学業界の劣化に思うことについて書いていきたい。
 
 千田有紀は『都知事選劇場、小池百合子さんを応援する人の心理学』をヤフー個人で掲載し、千田氏は小池氏を「女性らしく」なんかないという評価をしている。しかし、こうした評価は、女性性や男性性という固定概念をもとにして、小池氏を評価している。本来、ジェンダーフェミニズムは固定概念を変化させる運動をしていたはずだ。小池氏の発言や内容について不安はあるかもしれないが、それを女性らしくないというだけで評価する姿勢について適当かを考えなければいけない。
 都知事選劇場、小池百合子さんを応援する人の心理学(千田有紀) - 個人 - Yahoo!ニュース
 また上野千鶴子は、選挙後にツイートで、今回ポピュリズムの風は「女」に吹いた。「女なら誰でもよいのか?」という訴えは浸透しなかったと述べていた。
はてなブックマーク - 上野千鶴子さんのツイート: "都知事選。今回ポピュリズムの風は「女」に吹いた。投票率が上がっても結果は同じだっただろう。組織選挙では戦えないことがわかったが、「女なら誰でもい
 今回、小池氏は女性初の都知事となることを期待して投票した人もいるだろう。しかし、小池氏のこれまでの政治実績、小池氏の都政や自民党都連の改革に期待する人もいたはずだ。選挙活動では、小池氏は環境を言イメージしたグリーンを意識し、都政を改革を訴えてきた。また鳥越俊太郎氏の問題点もあり、投票が伸びなかったのではないか。また「厚化粧」発言をした石原慎太郎瀬戸内寂聴を批判しなければいけないジェンダー論者やフェミニズムが大きな声を上げなかったことから、敵であればどのような批判も許されるのかという態度を示していて、ジェンダーフェミニズムを専門とする者にとって大きなマイナスポイントである。
 こうした千田や上野といった社会学者の言論を見ていると、社会学業界の衰退を感じる。本来は、主要三候補者の比較を行い、なぜ小池を支持されるのか(消極的な理由を含む)、現代の政治の特徴の分析を行分ければいけないはずだ。上野や千田たちは、小池氏を男性性や女性性という固定概念に縛られた評価を行い、本来、男性性や女性性といった固定概念を批判する運動を続けたきた彼女たちにとっては大きな後退を意味していると思う。
 価値判断に基づく、批評や分析することは大事であるが、その価値判断に縛られてしまい、なぜ小池氏が支持されているのか、なぜ鳥越氏が支持されなかったのかなどの認識ができていない。また自分たちの価値観から外れた人たちを批判を行い、嫌悪感を示すことで、その価値観についていけない人たちを置き去りにしているのではないかと感じる。

 自分たちの価値観に基づく認識や言説を何も疑いなく続ける社会学者の現状に危機を感じる。社会学は、今起きている現実や価値観をを疑うことから始まる。しかし、今起きている現実や価値観を疑うことなく、自分たちが作り上げた価値観に基づく相手批判を行っている限り、社会学ジェンダー論、フェミニズムは衰退し続けるだろう。

広告を非表示にする